うちの両親は、焼き鳥の砂肝をどうにも苦手にしています。父親はまだ食べられるのですが、母親がまったく駄目で、一切口をつけません。そんな家で育ったので、ぼくは砂肝という料理というか品物自体を、大学生になるまで知りませんでした。大学生になって、サークルや合コンで居酒屋に行くようになれば、ふつうに砂肝がメニューに載っています。これはいったいなんじゃいなとぼくがいうと、砂肝も知らないのかとまわりに笑われました。
レバーの一種みたいなものかなと食べてみると、食感はずいぶん違います。
そして美味しい。レバーはわざわざ頼んで食べようとはそんなに思わないのが、砂肝は初めて食べたときからはまってしまって、その後は居酒屋に行くたびに注文するようになりました。濃い味付けにしてあるお店が多いので、ときに薄味の砂肝にあたると、これが本来の素材の味なんだなと、ゆっくりかんで味わったり。名前からしてジャリジャリする食感のイメージがあって、苦手な人は味よりも食感からちょっと先入観を持つのかもしれません。
砂肝は鳥の内臓の一部で、人間でいう胃袋のようなものなのだとか。なぜそれを砂肝というかというと、鳥はくちばしに歯がないため、えさと一緒に砂や小石を口の中に一緒に入れます。
それらを一緒に胃袋に入れて動かし、砂や小石を歯の代わりにしてえさを細かく砕くのだそうです。実際に食べられる状態になる前の砂肝には砂が入っていて、解体のときにキレイに取り払われます。ぼくらが食べるときには砂はついていないのですが、食感はたしかにザラッとしていなくもないので、こんな名前になっているのでしょうか。なんとも独特な食べ物だとはいえそうです。